設計の仕事

一軒の家を建てるには、施主の意向や敷地の条件などに基づいて、建築家が設計します。

建物のディティールや、建築基準法や都市計画法などの規制をクリアーさせて、建物の設計をしていきます。

 

施主から要望を聞き取ってそれを図面という形にしていくわけですが、

そこに、大事なことがあります。

 

設計士(建築士)の仕事は、住む人の「建物のデザイン」と、住む人の「ライフデザイン」の両方です。

家は、家族にとって一番居心地のいい場所、安心できる場所であるべきです。

それを創り出すのが設計士です。

お客様の要望を完璧に実現させた、ということだけであれば、建築士の仕事とは言えません。

(AIの仕事と言える)

 

例えば、スケルトン階段(ストリップ階段とも言ってオープン階段)にするか、箱型階段のどちらにするか。

お客様にどちらがいいか選んでもらうと、ほとんどが箱型階段(横壁がある階段)にして階段下を収納にしたいと言うでしょう。

お客様の要望をかなえてあげるために、箱型階段を採用する。

そうすると階段の横は壁になります。

それが正解なのでしょうか。

 

 

収納を増やす必要があるのか無いのかを判断してあげて、

必要性が無いのであれは、開放感のある質の高い暮らしを提案してあげることが必要です。

階段横を「ただの廊下」にするよりも、スケルトン階段にすることによって、光を取り込みやすく風通しも良い空間になります。

そのほうが、お客様はメリハリのある生活ができるでしょう。

 

「予想を裏切り、期待を超える」、という言葉があります。

お客様に、30坪の家を設計してください、と依頼を受けたら、「お客様の要望」と「設計者の提案」を取り込んで、27坪で設計する。

それであれば、お客様は内容も予算も満足してくれると思います。

それが建築士の仕事です。

 

 

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